医学関係者じゃない方々へ・・・

私たちは、心臓と血管の加齢医学の研究を行っています。


心臓と血管の「老化抑制」


人間は老化すると、いろいろな変化をきたします。

この変化を心臓と血管から考えて見ましょう。

 

お年寄りには、血圧が高い方が多いですよね?

そう・・・

ヒトは年を取ってくると、年々血圧は上がっていくものです。

その原因は、循環器の専門領域から見ますと、

老化によって、血管の弾力性が下がり、インピーダンスが増加し、左室が肥大し、コンプライアンスが下がるためです。

と、言うと、難しそうですが・・・・

要するに、

血管も心臓も硬くなって柔らかさがなくなってくる。と言うことです。

そういえば頭も固くなりますね?・・・^^)

 

さて、

血管も心臓も若さを失って硬くなってくると、いろんな病気を起こしてきます。

「動脈硬化」って聞いたことはありますよね。

血管が硬くなれば、血圧は上がります。

血圧が上がれば、もちろん血管が破れることもありますから、

脳出血や動脈瘤など、恐ろしい病気に結びつきます。

 

脳出血は、もちろん恐ろしい病気で東北地方ではかなり発生率が高いです。

また、助かっても、半身マヒなどの障害が残る点でも問題です。

また、動脈瘤も恐ろしい病気です。

血管がコブのように腫れ上がってくるのですが、ある日、突然破裂することがあります。

解離性動脈瘤の破裂の患者様の痛がり方を見たことはありますか?

七転八倒の苦しみとはこのことです。

人間か感じることができる、一番「痛い!」病気の一つであると言われています。

 

また、高い血圧は、もちろん血管自体も痛めつけますから、

痛んだ血管は、ある日、詰まって、脳梗塞、心筋梗塞のような病気を引き起こします。

血管が詰まって心臓の一部が死んでいくわけですから、

驚かすわけではありませんが「地獄のような苦しみ?」とお話しする患者様もいらっしゃいます。

 

さて、

このような恐ろしい病気を引き起こす血管と心臓の老化を、何とか食い止めたい。

と、いうのが私たちの研究室の目標の一つです。

すなわち、

この老化を予防する「老化抑制」の方法を開発するのが、うちの研究室の目標です。

研究のためにはモデルの実験動物が必要です。

 

モデル?・・・・

と、言ってもファッションモデルじゃありませんよ。

老化の研究をするのに、

ヒトが赤ちゃんから老衰して死んでいくまでをじっと観察して研究するわけには行きません。

その代わりとして、老化の「モデル」になる動物を使うわけです。

私たちは、人工心臓を使いました。

これは、老化のモデルとしては極めて珍しいもので、世界的にもあまり例がありません。

実は、人工心臓の動物では、一年くらいでたちまち血管が硬くなって高血圧になります。

結構、この人工心臓の業界ではなかなか有名な仮説です。

つまり、人工心臓では、早く老化してしまうのですね。

と、言う訳で、

人工心臓でも老化が抑制できれば、人間でも老化抑制が可能である?

かもしれない?と、言う理屈が成り立つわけです。

 

具体的には、人工心臓の動物で、人工心臓の動かした方をいろいろ変えたり、いろんなお薬を与えたりして、老化の仕方、血圧の上がり方を観察するわけですね。

この研究は、世界的にみても大変珍しい実験システムなので、学会の注目を集め、様々な学会賞や、研究予算の対象ともなりました。

その研究のためにカオス理論やいろいろ複雑な理論解析を使うのですが、数学の理論は省きます。

また、実際の患者様には薬などでも十分な効果があると可能性が高いと思われます。

 

私どもの研究成果を、一言で簡単にまとめるのはなかなか大変ですが、

研究の結果、

老化の進行には、血圧の制御システムが鍵を握っているようだと言うことがわかってきました。

 

人間の血圧は、ちょっと上がっても、すぐに心臓が反応して脈が遅くなりますので、

血圧が上がり続けることはないようにうまくコントロールされています。

ここがうまく働かないと、老化の進行がとても速くなります。

この現象は人工心臓のコントロールをいろいろ行っているうちに発見できた新しい現象です。

 

さて

研究の結果は、実際の患者様にも役立たねばなりません。

そのために、関連病院の先生方とも相談していろんな研究をしています。

 

一見、話が飛ぶようですが、

「ロシア人は、年をとるのが早い?」と、言う話を聞いたことはありますか?

いま、どんどん寿命が短くなっているそうです。

 

平均寿命がどんどん短くなるのでついに、人口まで減り始めたそうです。

統計では、ロシア人の55%以上が、心臓か血管の病気で亡くなられます。

もちろん、ロシアでも国家的な大問題で、

いま、ロシアと共同で、寿命を延ばす研究を始めたところです。

この夏には、私たちとの共同研究に注目したロシアのテレビ局も取材に来ました。

このへんは、東北大の21世紀COE、医工学研究の重要な研究テーマの一つです。

 

いろいろなデータが集積されつつありますが、

老化に伴う動脈硬化の進行は、やはり、ロシアで圧倒的に早く、

その原因としての血圧反射の異常のデータも蓄積されてまいりました。

この八月にはこの研究のためにロシアに答礼訪問に行ってまいりました。

 

その他にも

加齢に伴う循環器病学の様々な研究を行っています。

是非一度、加齢研のラボを覗いてみてください。

貴方の知らない世界が待っています。

 

また、心臓と血管の具合が気になる方は

一度、外来の方へおいでください。

私は東北大学病院の心臓血管外科外来を木曜日に担当させていただいております。

また、うちの頼りになる諸先輩や、親しい仲間たちが県内で循環器診療に携わっておりますので、

そちらがご近所の方はそちらへお願いします。


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