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東北大学加齢医学研究所 心臓病電子医学分野
東北大学大学院医工学研究科人工臓器医工学講座/ 医学系研究科内科学専攻心臓病電子医学
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RotaryPump

ロータリーポンプ人工心臓の臨床応用

欧米で開発されている拍動型の埋め込み式補助人工心臓は、大きすぎて日本人に埋め込むには話になりません。そこで小型化に有利なロータリーポンプが注目されています。

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ロータリーポンプには、スクリュー型の軸流ポンプと、遠心ポンプがあります。

遠心ポンプに先駆けて、軸流ポンプが欧米で臨床応用されました。軸流ポンプはスクリュー型のポンプで、小型化が可能で子供にも埋め込むことができるとされています。

  • ロータリーポンプ
    1. 軸流ポンプ
    2. 遠心ポンプ

軸流ポンプは基本的には心臓移植を待つ間の一時的循環補助=ブリッジユースに用いられ、基本設計の段階では三ヶ月ポンプと呼ばれていました。三ヶ月待てば心臓移植が可能になるという見込みのある欧米での体制の下での臨床応用です。

ドナーハートが日本よりは比較的速やかに手に入る欧米ならではの使用法が試みられていたわけです。

現在までにマイクロメド、ハートメイト2、ジャービック2000、インコアの四社の軸流ポンプが臨床試験の体制に入っています。

  • 臨床応用が開始された軸流ポンプ
    1. マイクロメドドベイキー
    2. ハートメイト2
    3. ジャービク2000
    4. インコア

マイクロメドの軸流ポンプは、NASAの燃料ポンプのスクリューを応用した設計といわれており、開発当初からNASAの技術者が携わってきました。いち早く臨床応用が行われ、現在200例を超える症例が報告されているトップランナーですが、トラブルの報告もあるようです。

ハートメイト2は、日本でも臨床応用されている拍動型の埋め込み式補助人工心臓ハートメイトのカニューレなどがそのまま応用されています。開発中の磁気浮上型遠心ポンプ=ハートメイト3と三種がシリーズで開発されています。

ジャービック2000は、臨床応用された空気圧駆動型全置換型人工心臓ジャービック7で有名なジャービック博士の開発によるもので、軸流ポンプの中では最も小型で、左心室にそのままスクリューが入り込む構造です。

インコアはドイツのベルリンハートの開発によるもので、ここも長年の人工心臓開発のノウハウの蓄積があり、優れた臨床成績を誇っています。特に軸受けを磁気浮上させている点で特色があります。

日本では東北大学が、慶応大学・北海道大学と共同で、シンプルな構造で軸受け設計の簡単化、小型化、耐久性の向上を図ったバルボポンププロジェクトが現在開発がオンゴーイングになっていて、日本で唯一、開発中の軸流ポンプになります。

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東北大加齢研MEでは、ポスドクの関根君が中心になって、軸流ポンプの抗血栓性、溶血性能、耐久性の向上を図って、図のようなコンピュータ解析による流体力学的解析を行っています。

現在、日本人と同じ体重を持つ山羊を使った動物実験を進めています。

これらの軸流ポンプは、心臓移植待ちのブリッジユース使用と言うことで臨床が先行しましたが、軸流ポンプは遠心ポンプと比較して回転数を上げなければなりませんから、当然耐久性そのほかの面では不利になります。

ドイツの心臓移植センターの中心であり、人工心臓の臨床応用が行われる病院としても有名なバドオイエンハウゼンでは、軸流ポンプは耐久性に欠けると言う臨床成績から、遠心ポンプのほうへシフトする方向性にあるという話も出ているとの説もあります。

軸流ポンプに臨床応用では先行を許した遠心ポンプですが、昨年から、ついに満を持して臨床が開始され始めています。遠心ポンプは世界中の施設で開発が進められていますから、これからは遠心ポンプが新時代を迎えることでしょう。

遠心ポンプでは、現在までに、オーストラリアのベントラアシスト、クリーブランドのコアエイド、テルモのデュラハートが臨床に供給され報告されています。

ベントラアシストは、遠心ポンプで最も先行していますが、軸受けのない流体浮上方式なので血栓形成の予防や溶血を来たさないという側面で有利です。98年の1月に3.5ミリオンのグラントをとり、12月に早くも動物実験に入りました。その後、動物実験を重ねて臨床前試験まで進み、2003年1月に最初の臨床例がマスコミで発表されました。バジェットから臨床まで五年で済ませるというすざまじいスピードで、日本の補助人工心臓の三十年の歴史を考えると馬鹿馬鹿しいほどの違いがあります。2004年4月までに五例の臨床が行われ、三例が生存中であるという報告が行われています。クリーブランドのコアエイドは一例ヨーロッパで臨床に供されたという話の後は報告が行われていないようです。

是非、メイドインジャパンにもがんばってほしいところですが、この1月に、ついにテルモのデュラハートが欧州で臨床応用されたという報告が行われました。テルモの磁気浮上ポンプ=デュラハートは、京都大学名誉教授の赤松教授の開発したもので、最初は人工臓器学会などで報告しても、拍動型空気圧駆動補助人工心臓が全盛期だった時代には、誰にも相手にされない状況が続いていました。そのポンプを洗練させ、大枚の開発費を計上してついに商品化したテルモの企業努力には頭が下がります。

テルモでは三十例の治療試験を行った後に最終報告を行うという方針になっているようで、現在は残念ながら臨床成績の詳細は不明です。最初の一例の細かい成績で方針が一喜一憂しては確かに治療試験にならないので、正しい方向性かもしれません。

ロータリーポンプ完全人工心臓

ロータリーポンプは小型化の面で有利なので全人工心臓の開発も試みられ始めました。

この度、東北大学に医学部と工学部が協同してスーパーCOE=先進医工学研究機構が設立されました。

設立に当たって、日本で最も著名な人工心臓研究者である東京大学の井街教授を招聘いたしました。

井街教授は、東北大学北海道大学早稲田大学九州大学東京大学など六大学共同で、日本オリジナルな人工心臓開発を目指す「波動ポンププロジェクト」の統括研究者で、東北大学に移籍された後も、この人工心臓計画を益々精力的に推し進める体制を整えつつあります。

ロータリーポンプ型の人工心臓が、日本人の体内へ埋め込まれる日も、そう遠くないかもしれません。

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Last modified:2006/04/10 20:16:55
Keyword(s):
References:[ロータリーポンプEvaHeart動物実験] [news]

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