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東北大学加齢医学研究所 心臓病電子医学分野
東北大学大学院医工学研究科人工臓器医工学講座/ 医学系研究科内科学専攻心臓病電子医学
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「反原発屋」が日本を滅ぼす

 2011年4月30日、第50回日本生体医工学会学術大会において「大震災対応特別シンポジウム」が、急遽開催されました。。現在まで、東北地方においても未だ被害の規模、その他の全容はわかっておらず、時期が早すぎると言う批判もあろうかと思われますが、震災の被害は現在進行形で拡大しており、ここは急いで考えるべきであろうと言う当局の英断だったと思われます。

 東京大学の佐久間一郎教授の御司会で、生体医工学の理事でもあるので私から現在進行形の関連病院の被害状況等を「学会が風評被害から日本人を守る」と題した報告をさせていただき、脳外科の中川先生に東北大学病院の震災72時間の経過を報告させていただきました。愛媛大学の石原先生のショートプレゼンの後、パネルに入りましたが、大会場からあまりに多くの質問が引き続き時間内におさめきれず座長も苦労されたようです。

 現在進行形で、被災者を最も苦しめいている問題の一つが、風評被害である事は論を待ちません。特に福島原発の問題は重要です。医者は、このレベルの放射線から安全だとは、確実には言えないからです。なぜならば、医学データのエビデンスレベルは何段階かあり、放射能の障害では、ダブルブラインド試験が不可能なのでエビデンスが整わないのです。「多分安全」とは言えても、「医学的に安全」と言うお墨付きは、おそらくは永遠に出せません。エビデンスレベルの高い、ランダム試験は、一つの集団に放射能を当て、もう片方の集団に放射能を当てない。と言うような比較になる訳ですが、こんな非倫理的な医学試験は、現在ではとても出来ません。

エビデンスレベル


表1-a エビデンスレベル分類 Level 内容


1a ランダム化比較試験のメタアナリシス

1b 少なくとも一つのランダム化比較試験

2a ランダム割付を伴わない同時コントロールを伴うコホート研究(前向き研究,prospective study,concurrent cohort studyなど)

2b ランダム割付を伴わない過去のコントロールを伴うコホート研究(historical cohort study,retrospective cohort studyなど)

3 ケース・コントロール研究(後ろ向き研究)

4 処置前後の比較などの前後比較,対照群を伴わない研究

5 症例報告,ケースシリーズ

6 専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む)


 ですから広島原爆等の過去の不幸な事象から遡って、「おそらくはここまでは統計的にがんは増えない」と言うあやふやな言い方しか、医学的なデータとしては言えないのです。そのような過去の基準から100ミリシーベルトで、約0.5%がんが増えるかもしれない。と、言われています。日本人は、全生涯では、約30%ががんで亡くなりますので、100ミリシーベルトで、がんで死亡する確率が、30%から30.5%になる危険があるかもしれない、と言うわけです。この数字に意味があるのかどうか、人によって感じ方が違うかもしれませんが、医学研究者として患者さんのデータを見て来た立場から言うと、おそらくは、カルテをひっくり返して必死に統計的有意差を出そうと研究者が奮闘し、いろんな視点から頑張って解析しても、全く有意な結果が出ない範囲の数字だと個人的には感じます。

 内部被曝が危ないから、福島から逃げろ、東京から逃げろ、日本から逃げろ、という風評があります。そのために、福島の県境で、つくば市が、福島県民に放射能検査を求めると言う非常識な方向性を出し、官房長官から注意を受けたと言う報道がありました。。現在の20〜30km圏の方向性は、多少過剰なようにも感じますが、とりあえずは、その範囲の外側の方は全く逃げる必要はないと思えます。と、言うのは日本では、大気中のチリなどの降下物に含まれる放射能の量は、公開されているからです。報道で、内部被曝が、危ない危ないと話題になるセシウムですが、政府から公開されたこのデータを見れば、63年から一貫して減少傾向にある事がわかります。左軸はログスケールです。私は59年生まれですから、私が子どものときには、いまの千倍から一万倍の環境放射能と内部被曝を受けている事がわかります。 d_taiki_b.gif

 つまり、今、福島県の境で、福島県民に検査をしろと強制している人たちは、子どものときに、自分がその数千倍ものセシウムやストロンチウムを浴びながら育って来た事を知らない訳です。そして、その風評を利用して、マスコミで雑誌を売ろう、本を売ろうと、無責任な風説を垂れ流す非人道的な人間がいるようです。そのために、福島県、東北地方への物資が止まり、福島県民差別に直結し、現在進行形で、日本人の健康を奪い、生命を奪い続けている事は、特筆しなくてはなりません。代表的な反原発の評論家さんなどが原発には味噌が利く?と、喧伝しているustream画像があります、舞い上がる反原発屋のみっともなさには、ほとほとうんざりします。


舞い踊る『反原発屋』の見苦しさ


 日本では、『原発屋』さんと呼ばれる、原子炉の絶対安全を歌い上げる言論人。科学者(と、言えるかどうかは別にして)がいました。おそらくは、これから糾弾されるのだろうとは思いますが、東北の人間の一人として、原発安全神話を振りまいた人々は、どんどん糾弾されて欲しいとは感じます。

 ところが、反原発の運動をして来た人の中には、(反原発の運動自体はよろしかったのかも知れませんが)原発は危ないから、3/12、14の福島原発水蒸気爆発の後のセシウムやストロンチウムで、みんな、がんになるから、福島からも東京からも逃げろと、非科学的、被人道的な風説をばらまいている人が多いようです。このため物資が止まり、東北の人間が苦しんでいます。

 反原発屋さんが、福島が爆発したと、喜んで舞い上がっているのは、気持ちがわからない訳ではありませんが、たいへん見苦しく、非人道的な振る舞いと言えるだけでなく、県民差別に繋がり、日本人を苦しめています。そもそも、セシウムやストロンチウムの降下でがんが増えたと言う科学的データはなく、風説だけで、今現在、福島県民を苦しめている存在であると言えます。東北大学の北村名誉教授のように、非科学的な風評被害の番組に抗議をしてくださる科学者も少しづつですが、増えて来たようです。  私たちは、欧米や中国の大気圏内核実験で、大気中放射能を浴びて育ってきた世代ですが、現在、日本人は世界で一番長生きするようです。少量に限れば、放射能は健康にいいと言う研究者もいますが、、衝撃波も超音波もある程度健康に良いとのデータはあり、少量であれば、物理刺激は細胞を賦活出来る可能性はあるかも知れません。ただ過去の大気圏降下物のデータではコントロールが取れず、実証は難しいでしょう。

 繰り返しになりますが、放射線にのデータに、現在まで医学的に高いエビデンスはありませんし、今後も出ないでしょう。エビデンスの低いデータでも、100ミリシーベルト以下は、大人ではほぼリスクはなしと言えると思われます。赤ちゃんや子どもはデータがなく、判断が難しいですが、私が子どものときには今以上に内部被曝があった事は言えるとは思います。ただし、私も明日がんになるかもしれないので、確たる事は言えません。本当の事はわからないと言うのが現状です。

 ですから、20,30km圏外の福島県民を差別する必要はありませんし、原発圏内の外側の県民は、おそらくは検査もいらないでしょう。圏外の方々は、もう3/12,14の時点で、日本中、世界中に広がっていますから、降下物のリスクは世界どこでもほぼ同じです。上の大気中セシウム降下を見れば、チェルノブイリの降下物は日本まで来ています。福島県、東北地方に限らず、みな同じと言う事です。

 日本生体医工学シンポジウムでは、この前提に立って、では医学系の学会に何が出来るのか、ディスカッションされました。一致したのは、「まず医学的な情報発信が重要である」と言う事です。かかる理念に基づき、日本全国のセシウム降下量年次推移を掲示してみました。

 内部被曝を言い立て、国民の不安をあおり、雑誌を売ろうとするマスコミ。根拠のない風説で、福島県民を苦しめている無責任ジャーナリストに、強く抗議します。

 現在、東北地区の避難所では、物資が行き届かず、血圧、血糖、トロンボコントロールが困難になり、脳卒中、肺梗塞等が多発しています。

 言ってみれば、無責任なマスコミや、非科学ジャーナリストが、いまも毎日、日本人を殺していると言っても良いような状況です。

 福島の物資を止める必要はなく、現段階では、20,30km圏外の福島県民の放射能検査も必要ありません。風評被害に対する、幅広い皆様方からの強い抗議を御願いします。

Last modified:2011/05/13 13:52:23
Keyword(s):[風評被害] [原発屋さんと反原発屋さん。]
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