Welcome to IDAC ME Home Page!!

東北大学加齢医学研究所 心臓病電子医学分野
東北大学大学院医工学研究科人工臓器医工学講座/ 医学系研究科内科学専攻心臓病電子医学
>Top page

もっと外来上手くなりたいな。

「もっと手術が上手くなりたい!」 「カテーテル検査が上手くなりたい!」 「内視鏡の達人と呼ばれたい!」と言うような欲求と、良きモチベーションを持つノイヘレン(新入医局員)は、東北大では、割と昔から多かったような気がします。勉強して医師国家試験を通り、意欲満々で研修病院へ出た初期研修医には、正しい方向性のモチベーションを持って頑張ってもらいたいと思います。ただ、不思議なことに、「外来の達人になりたい!」と言う、大望は、残念ながら、医学部の学生さんからは、あまり聞いたことがないような気がします。

 外来の診療部門は、どの病院でもどの科でも、入り口となりえる大事な大事な存在です。病気のある患者さんが外来から入院、治療、ある場合は手術を受け、治療が終わればまた外来へ戻るか、ご紹介いただいた開業医の先生などへ戻ります。ですから、外来の部門は、ある意味では、医療の、アルファでありオメガです。

 さて、そもそも困ったことがないと、患者さんは病院みたいな汚い所へは行きたくない。というのは、ある面では正しいかもしれません。汚い所を言うのは、外見だけでなく、新規の感染症などが発生しているときには、えてして病院が感染源になる事態も考えられるわけです。基本的に病院は普通の建物よりは滅菌消毒には気を使っているわけですが、感染症を持った患者さんも外来を通られるわけですから、ベーシックには感染症の発生の危険は常にゼロにはなりえません。それだけのリスクを持っても(意識するにせよ、知らないにせよ?)困ったことを解決してほしい患者さんだけが、病院の門をくぐるわけです。

 再来の患者さんの場合は、ある程度は、診断名が決まっているので、およそ薬の処方だけで済む場合もありますが、診察を希望される場合には、何らかの困った事態が発生している場合があり、見逃さないようにしなくてはならないこともあります。ルーチンに陥ることなく、患者さんにとって最適なパフォーマンスを常に維持したいと思います。

 初診の場合、患者さんが、診察室に入ってくるときから勝負は始まります。(勝ち負けの問題ではないですが・・・)車椅子の方も、杖をついてくる方も、パーキンソンっぽい歩き方の患者さんもいます。扉を開けて、最初の1,2歩で、診断をつけることができる場合もあり得るわけです。医学的に確実で見逃しのないシークエンスで、問題解決へ直結させたいと思います。

 医学的に完璧を求めるだけでなく、患者さんの肉体的・精神的、そして社会的・経済的・環境的な状況を鑑みて、WHOの言う、健康の定義に則るシチュエーションを具現化させてさしあげなくてはなりません。検査や必要な患者様だからと言って、経済状態が許さない場合も、特に地方病院などではよくあります。また、同時に、病院側・病院の医療従事者にとっても優れたパフォーマンスを維持しなくてはなりません。医学的に正しいからと、持ち出しにばかりなり、経営として成り立たないと、サステイナビリティに欠けるので、最終的には医療組織が消滅して、患者さんだけでなく地域全体が不幸になる場合もままあります。

 岩手県では多くの県立病院が閉鎖になりました。政治の貧困が地方の生活を直撃しているわけで、為政者は厳しく問われなくてはなりませんし、地域に県立病院を維持する財政を持たせない税制の大問題もあります。東北地方のような田舎では、病院の閉鎖は、地域社会の消滅を意味することすらあります。他に大きな産業がないのですから。そして、サステイナビリティに欠ける医療制度が放置された結果として、無医村に近い状態になる地方も、これからはどんどん増えるでしょう。そう、田舎にいると、病気をしたら死ぬしかない。という時代がくるかもしれません。

 正直、どの病院の外来で診療を担当していても、欲しいのは診療の時間です。患者さんから、丁寧にお話を聞けば、最低限、ある程度時間が必要です。特に東北地方の方は(他の地方の病院で外来をしたことがないので、他の地域柄は良く知りませんが・・・)患者さんが遠慮深いのか、・・・「お変わりないですか?」と、話を聴くと「う〜ん、変わりはないんだけっとも・・・」と、(じゃあ、変わりあるじゃないですか?・・・^^)、・・・「何でも良いですよお・・・」と。促すと、ようやく「そう言えば、ちょっとドキドキすっけっとも・・・、前からだから〜・・・たいしたことないです」などなど。  まず、患者さんの話を快く聞き出す方向へ持って行くのに、こちらが心を開いて、いつもニコニコ、決して急がせず、ゆっくりお話を聞いていかなければなりません。達人への道はなかなか険しいと感じる時もあります。困ったことに、今の日本の医療の現状では、一人当たりを丁寧にみれば、当然、単位時間当たりで診られる人数が減るので、病院全体の経営に直結してしまいます。今のシステムでは、外来で1人診ようと100人診ようと、医者の給料はおんなじですから、当然、病院経営の面だけなら、同じ給料でたくさん患者さんを診させた方がベターということになります。あまり時間をかけていると、だんだん、周りの看護師さんや、待合室の次の患者さんの眼が険しくなるのを感じる時もあります。仕事は進めなければならず、でも、パフォーマンスは下げられません

 もっともっと外来の達人になってみたい。患者さんにとって最適なパフォーマンス、病院にとってサステイナブルな、病院職員にとっても最適な外来診療の具現化を!と、私も思いますが、こういう志を医学部の学生さんたちにも持っていただくためにも、一人一人を丁寧に診ても病院の存続が可能になるような医療費の体系が必要だと感じます。


さあ!勝負!


山家智之


Last modified:2010/05/12 18:11:06
Keyword(s):[もっと外来上手に]
References:

Create  Edit  Diff  東北大学大学院医工学研究科人工臓器医工学講座 同大学院医学系研究科内科学専攻心臓病電子医学  Index  Search  Changes  RSS  Login

-
news
member
research
articles
publication
archives
link
加齢研MEのお友達循環器病院
access
page list
contact
JSRBP2015
IMJ2016
以前のトップページ

以前のトップページをお探しの方は,こちらをご覧下さい.

サイト検索

リニューアル後の内容の検索はこちらから.

最近の更新
アクセスランキング