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東北大学加齢医学研究所 心臓病電子医学分野
東北大学大学院医工学研究科人工臓器医工学講座/ 医学系研究科内科学専攻心臓病電子医学
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仕事をして死にたいのだ自分を変えるということはこんなにも難しいことなのか

 東北大学医学部基礎棟のロビーに、こんな言葉が額に掛けられています。

 私たちの学生時代。6年間の医学部の授業の中で、最も厳しいのが第1解剖学の石井教授であると言われていました。当時の、いわゆる学部1年(3年生)で課される解剖実習もたいへんで、脇の下などの神経や筋、血管の構造の解剖をスケッチで書いて出す課題を科されるのですが、めったなことでは合格点をもらえません。よくわかっていないと、神経と血管が繋がったような変なスケッチをしてしまいます。回診して来た石井教授に「こんなのは話にならん!」と、即刻せっかく書いたスケッチが却下されて一からやり直しになります。そういう過程で、たいていは、夜中まで実習がかかります。

 実習の途中、終わらないまま夜中になり・・・、疲れきってロビーで自動販売機のコーヒーを買い、座り込んで飲みながら見上げると、壁に「仕事をして死にたいのだ自分を変えるということはこんなにも難しいことなのか」の墨書がかけられているのです。

 素人でもわかる達筆なので、どなたか有名な先生の書かな?・・・と思っていたら、本当は「読み人知らず」なのだそうです。

 なんか、その方が、この書の内容にふさわしくていいような気がします。

 きびしい実習が終わり、やっと夏休みに入る前、東北大学医学部における最大の名物と呼ばれる石井教授の「ムント」が待ち構えています。ムントと呼ばれているのは「口頭試問」のことで、教授と直接、相対して口頭で試験されるので、大変に厳しく、ほとんどの学生が一回目の試験では落第させられます。4〜5人の少人数グループの学生相手に、石井教授直々に厳しく質問攻めにされます。

 私のグループでは不幸にして私が一番目でした。

  石井教授「グランデュラサイロイディウス」について言ってみたまえ。

  私「・・・・」

  石井教授「そんなこともわからんのかね?」

  私「・・・・」

  石井教授「次!」

  次の学生「えっと・・・首にあります」

  石井教授「それだけかね?」

  次の学生「・・・・」

  石井教授「話にならん!次!」

  次の次の学生「えっと・・・・蝶のような形です」

  石井教授「それだけかね!」

  次の次の学生「・・・・・」

  石井教授「次!」

  次の次の次の学生「えっと・・・・」

    石井教授「何も出ないのかね?」

  4人とも「・・・・・」

  石井教授「こ・・・こ・・・このグループはひどい! き・・・君たちはいったい、やる気あるのかね!」

  もちろん、4人とも一回目の試験は玉砕!・・・不合格でした。

 (再試験、再々試験でなんとかなりましたが・・・これも厳しい!)

 石井教授の解剖の講義では、解剖用語の単語が基本的にラテン語、ドイツ語、英語で概説されますので、学生は日本語と合わせ、一つの解剖用語に対し、四種類覚えなくてはならない羽目になります。そもそもそれだけで大変なのに、「お金がない学生は、医学書を買うのも大変だから・・・」という、石井教授の、優しさで、授業では毎回、分厚い大量のガリ版刷りのプリントが渡されます。読むだけでもたいへんで・・・、ちゃんと全部取っておいたら、わたしの本棚が一段、石井教授のプリントだけで埋まってしまいました。

 つまり、本棚一段分を、日本語、英語、ドイツ語。ラテン語で全部暗記しなくてはならないわけです・・・

 四カ国語を覚えなくても、答えるのは日本語で答えても良いそうなのですが、石井教授の授業が基本はラテン語の単語なので、日本語だけ覚えていても、そもそも講義について行けません。この試験の時の私のように、石井教授のムント本番で、そもそも質問の、意味すらわからなくなる訳で、試験に答えるどころではなくなってしまう訳です。

 こんな量になるくらいなら、印刷して本にしてしまえば、嵩張らないのに・・・と、思いますが、毎年、毎年、石井教授が自分で納得できないポイントが出てくるので、毎年必ず、プリントを改定しなくてはならないので、決して「本」として出版できないというのです。他人にも厳しい石井教授だけに、自分にも厳しく、印刷された本を見ると、納得できない点が、必ず見えて来て、毎回、毎回、改訂しなくては、いられなくなるそうなのです。

 自分にも他人にも厳しい石井先生の姿を拝見していると、東北大学の医学部の学生は「仕事をして死にたいのだ・・・」の書の意味が、言葉の意味だけではなく、実際の体感として、納得できていくのでした。

 現在、大学の外科で医局長をしている同級生が、同窓会で、25年ぶりに、久々にお会いできた石井教授に「先生のプリント!手術で役に立っています!」と、お声かけしたところ、すっかり好々爺になった石井名誉教授は、何となく、うれしそうに笑っているのでした。

 「先生!先生!一緒に写真撮らせてください!」と、同級生が石井教授の周りに押し掛け、交代でツーショット写真を撮りました。東北大の同窓生にとって、お元気な石井名誉教授は「80歳のアイドル?」のような感じです


東北大学加齢医学研究所心臓病電子医学 山家智之

Last modified:2011/03/30 19:14:21
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