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東北大学加齢医学研究所 心臓病電子医学分野
東北大学大学院医工学研究科人工臓器医工学講座/ 医学系研究科内科学専攻心臓病電子医学
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シンクロ率100%

 第48回日本人工臓器学会の開催に、ちょうど、シンクロするように、会期のど真ん中の平成22年11月19日、厚生労働省より、エバハートとデュラハートの製造が認可されました。誠におめでとうございます。

 人工心臓を初めとした人工臓器の歴史は、リンドバーグのメカニカルハート、旧ソ連における人工心臓?の歴史などにもその端緒が認められると言う説もございますが、科学史な背景、医学体系としての歴史として考えるには、1958〜59年ころに相次いで報告されたクリーブランドの阿久津先生・コルフ先生、東京大学の渥美先生などの報告が重要になると思われます。これらの歴史的研究成果に基づいて、世界各地で競争し、時期を合わせてシンクロするかのように、人工臓器の歴史は発展し、歴史を紡いできたわけです。

 個人的な話をするのは、たいへん恐縮ですが、恥ずかしながら、私はこのころ産まれていますので、私の人生は、ほぼ、人工臓器の発展の歴史と、シンクロして重なっています。研究会から正式の学会へ発展したのも、このころなので、人工臓器学会の50年近い歴史は、人工心臓を初めとした様々な人工臓器の発展に、シンクロするように直結していたわけですが、1981年に開始された空気圧駆動型補助人工心臓の歴史は、いま振り返ってみれば、あまり嬉しい歴史ではありませんでした。私は85年に医学部を卒業しましたが、当時の人工臓器学会は、「これからは補助人工心臓の時代!」という、楽観的な空気に満ち満ちており、時代のバブル景気の明るい雰囲気ともシンクロして「これからの医学は人工臓器だ!」と、会員数も毎年のようにうなぎ上りに増加していました。

 ところが、治験が終了すると同時に、これは学会のせいではありませんが、日本経済のバブルがはじけ、経済全体も企業もトンネルの時代に突入しました。これにシンクロするように、日本ゼオン型と、東洋紡型、この二つの優れたポンプシステムは、正式な製造認可を受けた補助人工心臓としては世界でも最初と称賛されましたが、保険の収載が遅れたりして、せっかくの高性能の人工心臓が、現実に産業として成立していないと言う難しい問題に日本の医療、並びに人工臓器学会は、直面することになっていたわけです。伸び悩む補助人工心臓の適応症例数や、日本の経済崩壊に、シンクロでもしているように人工臓器学会の会員数も激減し、現在は往時の半分近くに落ち込みそうな衰退ぶりです。

医療か? 経済か?

 これを、二律背反と解釈しては、国家全体としても、憲法上、人権上、たいへんなことになるわけです。何とか、この二つを同時に、シンクロさせて発展できるよう成り立たせる工夫が、学会に与えられた最も大事な使命と言ってもいいかもしれません。 もし、この問題を解決できないのならば、人工臓器学会は、存在意義がまったくないものと私は考えます。医学の学会は、専門医制度や、研究者の実績づくりや、大学や医局の名誉にあるのではありません。 医学の学会が存在するのは、もちろん、患者さんのためです。

 日本人工臓器学会では、許元理事長、福井前理事長の時代から富永理事長の時代に渡り、埋め込み型補助人工心臓の製造認可に向けて、学会を上げて政府との折衝を行ってまいりました。特に、胸部外科学会、心臓血管外科学会、循環器学会、心臓病学会などとの連携は特筆するべきで、およそ、他との連携が最も苦手な人種である医者や研究者が連携して目的を一つにしたのは歴史上例がないと思います。

 日本人工臓器学会は、世界最大の人工臓器の学術団体ですから、モック循環テストや、耐久性テストシステム、動物実験、臨床試験に関する世界最高の知識が結集しているはずですので、許認可の基準も政府へ提言していく責務があります。

 かかる観点から、本大会の会期中にサンメディカルやテルモが製造認可されたのは、48年間続いた人工臓器学会が、これから復活して大発展を遂げるためのターニングポイントに、シンクロした慶事に思われるわけです。

 日本では、一般の患者さんたちには、残念ながら、あまり知られていませんが、日本は、心臓移植の成績も、補助人工心臓の臨床成績も、透析の成績も、ご存じの通り世界一です。このような分野は、日本のモノづくりの力が生きるので、世界で勝負できる分野だと思われます。 そこで、この分野は市民に大きく発信していく必要があると思われ、第48回大会では、市民公開講座を予定しました。クリーブランドクリニックから深町先生、SF大賞作家の瀬名先生をお呼びしております。なかなか聞けない観点からのお話をおうかがいしました。

 これからの学会の発展を担っていくのは、若い先生方です。  若手研修医の先生方、体外循環の先生方、看護師さん方を対象に、いくつかの顕彰を新たに設定しました。私も個人的には、大学院生の時、早稲田の土屋先生の大会で、賞を頂き、たいへん励みになり、アカデミックのパスを歩むきっかけになりました。当時を思い出して学会誌を取り出してみたところ、受賞者に、巽先生のお名前などもあり、当時、土屋先生に顕彰していただいた若手の中から、現在の人工臓器学会の理事が二人出ているわけです。

 今年、受賞した先生方の中から、将来を担う人材が必ず出てくれるものと確信しています。


第48回日本人工臓器学会大会長報告 東北大学大学院医工学研究科・人工臓器医工学講座教授 山家智之

Last modified:2011/03/09 20:58:54
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