可愛い女の子を見るとドキドキする人工心臓!
=自律神経活動電位による人工心臓制御

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[目的] 
移植医療の具現化に伴い、ブリッジユースとしての人工心臓の役割もまた大きくなりつつあるが、世界に置ける趨勢としてブリッジの待機時間は長引く一方であり、当然ながら待機中の患者さんの生活のQOLも厳しく問われることになる。

QOLに優れた人工心臓は、完全埋め込み式でメインテナンスフリーであり、かつ生体の需要に応じて拍出を増減できる自動制御システムを保持したデバイスが望ましい。

例えて言えば、
「可愛い女の子の隣に座ったら、ドキドキするような人工心臓!」
が、理想である。

すなわち、生体が必要性を感じるときに、心拍出量を増減させる人工心臓である。そのためには、自律神経情報を介して、生体の需要をキャッチしなければならない。

本研究では自律神経活動電位並びにゆらぎの情報を応用した人工心臓制御について検討した。

[方法] 
健康な成山羊を用い、慢性動物実験を行った。左頸部を切開し迷走神経本幹を露出してステンレススチール製双極電極を刺入した。切開部を閉じて左第4肋骨床で開胸し、上行大動脈に電磁血流計を装着、右心房と大動脈に圧測定用カテーテルを挿入し、閉胸した。 得られた時系列はデータレコーダに入力した後、ADコンバータを介してパーソナルコンピュータに入力し統計処理、スペクトル解析、非線形解析を試みた。

[結果]
六頭において迷走神経活動の記録が可能であり、一頭では三週間を越える記録が具現化した。


迷走神経活動電位は、図に提示するように、呼吸性の周波数成分に同期したバースト発射を呈していたが、積分波形から定量化された迷走神経トーヌスは必ずしも心拍変動の呼吸性成分のパワースペクトルの大きさとは比例しない傾向も認められた。

 図に立位動作時の迷走神経活動を提示する。

末梢血管抵抗値は、大動脈圧と右房圧の差圧及び上行大動脈血流量から計算されたもので体位の変換は影響しないものと考えられる。

結果から立位に伴う血行動態の変動に先駆けて神経活動の増加が観察され、ある意味での予測制御が行われているのが観察される。

この情報を応用すれば、人工心臓の予測制御が具現化する可能性も期待された。
 

心拍変動のLF成分のゆらぎは、動脈系のゆらぎに起因する可能性が示唆されているが、
計算された末梢血管抵抗のLF成分のゆらぎの変動と長期間の心拍出量変化を観測すると、血管抵抗のLFゆらぎ成分と、5秒後の心拍出量の増減に比例関係が認められ、ゆらぎ成分からの人工心臓予測制御の可能性を示唆する所見と考えられた。

更に現在、ハースト指数の応用を試みており、これにより、更に長期間の予測制御が具現化することが期待される。

山家智之1)、南家俊介1)、仁田新一1)、吉澤誠2)、田中明3)、阿部健一3)、田林晄一4)


東北大学 1)加齢医学研究所病態計測制御 2)情報シナジーセンター 
3)大学院工学研究科システム制御工学 4)大学院医学系研究科心臓血管外科

e-mail: yambe@idac.tohoku.ac.jp