循環器科連合医局

加齢研MEC


「A先生からの救急車の患者さん、狭心痛のようですが、腎機能悪いので、心カテやったら最後の1押しで透析になってしまいますね・・・」
「じゃあ、透析で有名なB病院へ転院して頂いて、カテーテル検査とシャントをお願いしますか?・・・」

B病院:
検査後透析の予定で心臓カテーテル検査施行。
「あらら、右は1番で100、前下行枝は90%、回旋枝は、12のOMが90%、13番は99%ですね。」
「一本づつ広げていけますかね?・・・」
「右の100は、通るかどうかわからないし、穴掘り穴掘り1時間の上に左が三本も残っているようでは、一期的にバイパスの方がベターですかね?・・・」
「じゃあ、C病院に移しましょうか」

C病院:
透析で心機能も低下しているのでオフポンプで三枝バイパスの予定であったが、OMは筋肉内走行にて縫合困難と判定され、「あとはPTCAで!」と、B病院へ帰ってくる。

B病院:
「う〜ん・・・GEAは綺麗に右に流れていますが、前下行枝への内胸動脈は閉塞ですね。」
「透析中、まだ胸が痛いそうです。」
「前下行枝だけでも広げておかないとまずいかなあ・・・」
「じゃあ、このままPTCAへ行きますか・・・あれ?・・・透視出ませんよ?」
・ ・・PTCA開始直前、よりによってアンギオの装置が故障!手術が不可能になる。

「もうシースが入って、カテも行ってしまいましたし・・・困りましたね。」
「う〜ん・・・そういえば、確か今日はD病院が心カテ検査の日の筈ですよ。」
「患者さんを何度も何度も手術と言うのも申し訳ないですし、救急車でシース入れたままD病院へ移しますか?」
至急、D病院で検査中のE先生に電話、カテーテル検査中のところへ緊急でPTCAを割り込ませて頂く。

D病院:
「あ〜・・・IVUSで見るとやっぱり狭いですね。透析で石灰化も強いしステントにしましょう」
前下行枝、OM、回旋枝にステント挿入し、無事PTCA終了。カテ前室では、初期研修が終わって帰ってきたばかりのY君、高次修練中のO君、B病院・D病院の医師が集まり、時ならぬ加齢研同窓会のような和気藹々とした雰囲気。
「じゃあ、維持透析はまたB病院でお願いしますね!」

帰りの救急車の中・・・
「先生方お疲れでしょう・・・」と、患者さんの娘さんが缶コーヒーを渡してくれた。
「あ、救急車って、飲食禁止でしたっけ?・・・」
「患者さんもすっかり落ち着いたし・・・喉もからからだし・・・、ま、いいでしょ。ご馳走になりますかね?・・・」
渇いた喉に、冷たい缶コーヒーが沁みる。
ちょっと、嬉しかったりする。

残念ながら現在県内に、循環器と腎臓を完璧に兼ね備えたと思われる病院はないとも言えます。透析で有名な病院には心臓外科がなく、優秀な心臓外科医が居る病院では維持透析はやっていなかったり・・・大学病院には全科そろっていますが、基本的に救急病院でないのでPTCAの症例数が少なく、認定医・指導医の取得も不可能な状況です。

で、あれば、県内のいくつかの病院同士がタイアップして診療にあたるしかない理屈になります。加齢研MEでは、以前からOBの先生方を介して幾つかの総合病院の循環器科や開業医の先生方を巻き込んで診療を行ってきました。垣根の低い、ある種の「バーチャル循環器連合医局」のような融合体を形成しているとも言えるかもしれません。

一人の患者さんのために、幾つかの総合病院が総力をあげてみるのも、良いんじゃないでしょうか?・・・
缶コーヒー1本分の感謝の気持ちでも頂けるのであれば・・・?


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