病態計測制御分野の概要

back to 加齢研ME

 この研究室では人工心臓の開発を初めとする循環器病学の治療や診断等の研究や、カオス力学をはじめとする非線形数学理論の医学応用、バーチャルリアリティ、超音波医学等の研究を通して臓器単位の加齢疾患に対する臨床研究・基礎研究を介した加齢医学の確立を目指しています。

 特に「電子医学部門」であった時代から伝統的に医工学連携に力を入れて研究を行ってきており、大学院工学研究科を中心に連携している研究室は十指に余り、企業との産学共同研究にも積極的に携わってきました。日本で最初の補助人工心臓の臨床の成功は東北大学で得られました。

 また、空気圧駆動型の補助人工心臓は日本で最初に企業化され、保険認可が得られましたが、治験のコントローラは東北大のこの研究室に置き、臨床効果を証明しました。また超音波診断におけるBモード法(=超音波断層法)は、工学部との密接な連携によって当教室で開発されたものです。臨床用補助人工心臓、超音波診断装置、IABP駆動装置、超音波顕微鏡、血管造影カテーテル、体外循環システム、携帯超音波装置等、数多くの医療器具が当研究室において開発、動物実験が行われ、臨床試験から商品化、企業化が進んできています。

 病態計測制御分野は、統合後の医学部附属病院に於いては、心臓血管外科の外来・病棟・検査等を担当し、心臓カテーテル検査及び術中超音波検査等を介して心臓大血管手術の成績向上に大きく貢献しています。

 発足の当初から、「実学」を目指した循環器病の臨床研究、商品化・企業化まで視点に於いた現場の病院で役立つ研究を旗印に、加齢に伴う心臓血管病を臓器単位で助けるべく日夜研究が精力的に推進されています。人工心臓の開発の他にも、例えば超音波医学は前教授の田中元直先生以来の伝統ある研究分野で、心臓超音波断層がこの研究室で生まれ、ドプラ法開発が行われ、最近では超音波顕微鏡の開発研究などが注目されてきています。

 当研究室は、昭和53年に開設され、旧抗酸菌病研究所内科部門のME研究室を母胎に「電子医学部門」として発足しました。また医工学による循環器治療の体系確立のために医学部胸部外科から仁田新一先生を助教授として招聘し、最先端医工学による診断から治療までの研究体制を整えてきました。

 東北厚生年金病院・仙台社会保険病院・宮城社会保険病院・宮城県立瀬峰病院・宮城県立ガンセンター・公立深谷病院等の循環器科の関連の病院や、多くの開業されたOBの先生方などを介して循環器系の臨床研究にも従事し、宮城県内の循環器診療にも大きく貢献しています。

 このような歴史に則って、ME研究室と、抗酸菌病研究所の電子医学部門、更に現在の病態計測制御分野の同窓生が甲辰会という同窓会組織を作って、現在は和気藹々と県内の循環器病診療に携わっており、患者さんの紹介等をお互いに行いつつ、互いの病院で強い分野を生かしあいながら、患者さんの診療に大きく貢献しています。残念ながら現在県内に、循環器と腎臓を完璧に兼ね備えたと思われる病院はないとも言えます。透析で有名な病院には心臓外科がなく、優秀な心臓外科医が居る病院では維持透析はやっていなかったり・・・大学病院には全科そろっていますが、基本的に救急病院でないので救急やインターベンションの症例数が少ない状況です。で、あれば、県内のいくつかの病院同士がタイアップして診療にあたるしかない理屈になります。当研究室では、以前からOBの先生方を介して幾つかの総合病院の循環器科や開業医の先生方を巻き込んで診療を行ってきました。垣根の低い、ある種の「バーチャル循環器連合医局」のような融合体とも言えるかもしれません。

 肺移植の研究で伝統ある近藤先生の研究室で移植の臨床が脚光を浴びたのは記憶に新しいところですが、心臓移植の臨床の再開に伴って人工心臓の臨床もまた再び脚光を浴びつつあります。

 人工心臓は一般的には補助人工心臓と完全人工心臓の二種類に分類されますが、補助人工心臓は、心臓の手術等の心不全に対して一時的に用いられるものであり、心機能の回復の後に取り外されます。これに対して完全人工心臓は、心臓の全ポンプ機能を代行する人工臓器であり。外科的に心臓を切除した後に埋め込まれます。我々は完全人工心臓と補助人工心臓、更に人工心筋等の開発を行っていますが、世界全体を見渡した成績においても、補助人工心臓をはずして自分の心臓だけで循環を維持できるところまで回復できるのが、補助人工心臓を装着された患者さんの約半数であり、更に完全に回復して病院を退院し、長期生存に至ることができうるのは更にその半数で、約75%の患者は長期生存に至ることができません。

 そこで、例えば補助人工心臓から離脱できない患者さんのためには、次のステップとしてQOLに優れた完全埋込型の補助人工心臓の開発が求められ、現在世界中の様々な施設において開発されてきているのがこのシステムです。HeartMate や、Novacor等の米国で開発された完全埋め込み型の拍動型補助人工心臓システムもありますが、一般的には日本人のような体格の小さい東洋人に埋め込むには大きすぎるので、東北大学でも独自の埋込型人工心臓を開発中です。これも医工学連携の一つの形態の一典型と考えています。

 更にマイクロナノテクノロジーを駆使した全く新しい「人工心筋」の開発、制御ナノセンサ・マイクロセンサ開発、マイクロ人工心筋、カテーテル、バルーンなどの医療器具開発等を行いつつ、マイクロプローブによる微小循環、マイクロニューログラフィ計測、血管内超音波など多彩なナノテク循環器医工学研究を行っております。

 超音波診断学の領域でも、超音波顕微鏡開発、血管内超音波、超音波による治療など広く展開しています。

 興味ある方は是非一度見学に来てください。


back to Reserach Theme

Back to 加齢研ME