Public comment for e-Japan

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我々の医局では、医学的観点から画像等による視聴覚刺激が身体に与える影響についてここ10年間に渡って詳細に研究して参りました。その結果コンテンツによっては生体の自律神経機能に多大な影響があることを解明し、内外の学術論文誌に研究報告を行っています。最近ではポジトロンCT画像から、画像が脳血流に与える影響について研究ヲ行い、視覚野の一部の血流に興味深い現象を観測しています。

 医学的視点から勘案すると、今回のe-Japan計画には、健康面への視点が全く欠けているものと危惧されてなりませんので、医局を代表して医局長の私がコメントを書かせていただいております。

 まず、ざっと見た限りでは、全体の中に、国民のインターネット人口の健康へ配慮した項目が全く見受けられませんでしたが、私たちの見落としでしょうか?

ちょっとインターネット検索をしてみても、刺激の大きいHPが散見されます。

 HPは刺激が大きければ大きいほど見たがる方も多くなるでしょうから、不可避的にこの方向性はますます過激になります。
 情報スーパーハイウエイと言った時代になれば、ムービも音楽も簡略に流され、刺激の大きなムービが家庭で簡単に見受けられるようになることは容易に予測されます。
 HPを開いたとたん赤青のフラッシング。と言った過激な刺激が増えるでしょう。

 数年前のポケモンショックの事件を覚えていらっしゃるでしょうか?
 赤青のフラッシングが全国で数百人の子供達にてんかんなどの発作を頻発させた事件です。 

 e-Japan計画は、全世界規模で、この大事故を引き起こす危険性も否定し切れないのです。
 貴重なネット人口の健康を危険にさらしながら、金融の安全性も、学校教育もデジタルデバイドも、議論するべきではないのではないでしょうか?

 その前の段階の議論こそは不可欠です。

 そう、健康面こそが最も大事!と、考えるのが、私たち医師の立場です。

 大学病院の外来がてんかん発作を起こした患者であふれかえってしまっては、診療どころではありません。
 私たちの加齢医学研究所附属病院には画像刺激に対する生体影響調査システムを設置しておりましたが、このシステムでテストする必要のあるコンテンツがあふれかえるようではe-Japan以前の問題でしょう。
 銀行口座にアクセスしたクライアントが、てんかんを起こしてひっくり返っているのに、口座のセキュリティの問題を議論して意味があるでしょうか?

 誤解していただいては困るのは、何も情報化に反対なわけではありません。
 この方向性は不可避的に進むでしょうし日本も乗り遅れては困ります。

 ただ、同時並行的に健康面への配慮を飛躍的に勧める必要はあると心配するのが私たちの医局の立場です。

 もう一つの問題は、現在、画像と健康に関して、欧米で不十分な基準作りが勧められていることです。
 英国で開発されている光過敏性てんかんに特化したいわゆるハーディングマシンは、リスクのない赤青の柔らかい光まで引っかける不十分なもので、これを輸入して国際標準に使っては、日本のソフト産業は全滅です。

 私たちのプレリミナリーなデータでは、ハーディングマシンで日本の殆どのアニメ番組が危険と認識されました。
 しかしながら、1億を超える人口を持つ日本で、なんの健康上の問題もなく放映されていることは周知です。

 つまり、ハーディングマシンでは、健康に問題のない日本の全てのアニメーションを全世界的に放映禁止にする機能しかないのです。

 ろくなアニメ文化やゲーム開発のないヨーロッパで開発されたシステムを国際標準にしては、日本独自の文化とも言える充実したソフト産業を全滅させる企業鎖国となってしまうわけです。

 多彩なソフト産業を保持する日本でこそ、ソフトの危険性を認識する国際基準作りに取り組むべきでしょう。

 e-Japanの計画自体はたいへんに結構ですが、その前に国民の健康ありき。です。

 是非この方面の研究を飛躍的に進めるべきと考えます。