頭の良くなる人工心臓!


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 重症心不全に於ける最終的な救命手段として、また心臓移植までのブリッジユースとして現在までに種々の補助人工心臓システムの開発と臨床応用が試みられてきている。しかしながらその長期成績は未だ満足出来るものではない。

 臨床成績の向上を妨げる大きな原因の一つとして多臓器不全の問題がある。

 そこで我々は、埋込型補助人工心臓による補助循環時の臓器血流の問題に着目し研究を進めている。

 生体の心拍出量は無理にこれを増大させようとしても限界があり、また心拍出量が少なければ、各臓器や抵抗血管側の反応によって生命を維持しようとする作用がある事が知られている。

 従って心拍出量の増減だけで臓器血流をコントロールすることには限界がある。 

 そこで、我々は血流の周波数成分に着目した。

 周波数成分の影響を調べるために用いた人工心臓は自然心臓に比較して比較的高周波で駆動することによってポンピングチャンバーを縮小し、小型軽量化を目指した振動流型補助人工心臓である。(図参照)

 東北大学では臨床応用において重要な問題となる多臓器不全の問題に着目し、多臓器不全を防止する人工循環について検討を行うために、補助循環時の臓器血流について検討を行った。

 成山羊を用いた動物実験を行い、左心バイパス方式で振動流型補助人工心臓を装着し、臓器血流に与える影響について検討を加えるために、近赤外線光を用いた組織酸素飽和度の計測を試みた。

 臨床でもっとも汎用される40~50%左心バイパス時における血流分配について検討を加えるために脳内酸素飽和度から脳血流を検討したところ、30Hz前後の駆動周波数における左心補助時に脳血流の有意の増加が観察された。

 従って同一血流量においてもその駆動周波数によって臓器毎の血流分配に有意の影響を与えていることが判明した。

 この現象を応用すれば、同一の補助流量を維持しつつも、各臓器の機能に応じて周波数をコントロールすることによって多臓器の制御を具現化するものと考えられた。

 このような性質の応用によって埋込型補助人工心臓による多臓器機能制御が具現化する可能性があるものと期待される。

 すなわち、ひいては人工臓器による重症臓器不全に対する画期的な治療システムとなるものと期待される。


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